テキストサイズ

パパはかわら版

第3章 パパはかわら版B

橋龍は、今日も版説をした。最近話題になっているのが、景気が悪くなることについてばかりだが、今日は子捨てが増えているというのを取り上げた。これは、橋龍自信も考えなくてはいけないような問題だったが、人間とはいい加減なもので、自分のこととは切り離して考えることができるようだ。橋龍は、親のモラルを問いただした。景気が悪くなったぐらいで、こういったことをする親がふえるというのは、今の江戸の社会が何か間違った方へ進んでいるからに違いないということをいったのだ。子供たちが聞いたら、つっこみを入れそうな話だが、景気が悪くなると、窃盗や治安の問題が増えるのは当然で、江戸の庶民もそれは心配していたのだ。今日は、幸江の長屋にいかなくてはいけないので、簡単に次の日の打ち合わせをしてから、平凡屋を後にした。日本橋と有楽町は、歩いてもいける距離だったが、それでも、半時近くは歩かなくてはいけなかった。大体、夕方前には、橋龍は、有楽町に着いた。そしで、幸江の長屋を探した。比較的すぐにみつけることはできたが、そこに子供たちはいなかった。隣で幸江の母の話を聞いた。左吉の情報通りの話だったので、もしかしたら、ここで事情を聞いたのかもしれないと橋龍は思った。そのときに、ここ何日か幸江が戻っているようなことをいっていた。他にも人はいたようだということなので、恐らく子供たちのことだろうと思った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ