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Halloween ー影なる聖夜ー

第5章 距離



 忘れていたものが、喉まで出掛かっている、そんなもどかしい感覚。

喉に魚の小骨が引っ掛かっている感覚に似ているだろうか。

 ともかく、俺は今降りてきたばかりの階段を心の示すままに駆け上り、ソレのあるであろう場所を一直線に目指した。

なぜそんなことをしているのかは分からない。小骨の真実が、忘れているものがそこにあると言う確信だけで、俺は足を動かし、てでそれを探り当てた。


「確かここにーーあった」


 探し当てたのは、少し古い、でも手の付けられた形跡が殆ど無いアルバム。表には、『朔東(さくとう)小学校 第42期生 卒業アルバム』と銘打ってある。


これがきっと、小骨の姿。

遠い昔の、思い出と風化した大切な思い出。

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