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ショタコイ

第1章 追憶


それはまるで、何かの前兆を示しているかのように、ズキズキとリズムのよい痛みを彩に与えた。


思い出していた。


彩は、鮮明に思い出していた。


辛くて甘い、鋭くて柔らかな7年前を。


それは、彩の意思とは関係なく、彩の脳裏に止めどなく流れ込む。


思い出すというより、自発的に思い出されるのだ。


めまいがしてきた彩は、その場に座り込む。


辺りは、閑静で闇に包まれていたが、かろうじて、市営団地のようなところだと分かった。


そうして、うつむいた彩の瞳から涙がこぼれ落ちる。



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