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ショタコイ

第4章 手を伸ばせば、光に届きそうな心地だけ残った。



だが、一月もたたぬうちに、男は戻ってきた。


金の無心に来たのだ。


男を見るなり、母は彼を怒鳴り付けたが、


「やっぱり、お前じゃないとな…」


男が弱々しく呟いたこの一言に、母はあっさり落ちた。


自室にいた由は、冷めた気持ちでこの一部始終を背中で聞いていた。


涙さえ出なかった。


母と男が情事を始めた様子を、由は一瞥して、家を出た。


その日から由は、しばしば家を抜け出すようになる。


もとの鞘に戻った。


由の日常も、もとの泥沼の底に戻ってしまったのだ。


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