鳴宮くんは悪い子‼
第2章 屋上で。
カン、カン、カン
鉄骨の階段を上がり、扉を開ける。
サビた扉は重く、やっとのことで開いた。
刹那、生暖かい風がふわりと私を包む。
そしてすぐ蒸し暑い温度に、じんわりと汗が滲む。
吹く風に、微かなタバコの匂いが。
…ヤンキー?
勘弁してよ…
屋上には、だれもいない。
でも、まだ上があった。
吸水ポンプが設けられている、もう一段上の屋上が。
はしごを見つけ、手をかけて上がった。
風が強くなる。風の香りが薄くなった、気がした。
「あ…」
ひょこっと顔を出すと、先客がいた。
人、いたのか。
シューズの色からして、同じ高1。
ズボン着用…男か。
男は本を顔に被せ、ごろんと無防備に寝ている。