鳴宮くんは悪い子‼
第6章 ボーイズトーク
…受け入れる?
その言葉に、海はすぐ鳴宮の顔を見た。
「…残念だけど」
「あ?」
「えみにどんなに近付いても、無駄だよ」
どういう意味だ?と鳴宮は海を睨む。
「えみには、陸がいる」
陸…
「そうだなぁ…俺と鳴宮くんは気が合わないらしいから、えみの婚約者には陸がオススメかな」
「今時婚約者とか、馬鹿じゃねぇの?」
ドンッ
鳴宮の顔の隣に、海が固く握る拳が飛ぶ。
ギリギリ鳴宮には当たらず、壁が小さくきしんだ。
「あんま調子に乗んなよ。えみさえ良ければ、陸は本当になるぞ」
えみの夫に。
何の根拠があってそう言うのか、鳴宮には分からなかった。しかし、陸がえみに惚れているのは海が見ても一目瞭然だった。
たった1人の妹を軽々しい男に渡すのは、海にとって正直不愉快であり、気に食わなかった。
鳴宮にとって、えみの存在はまだ狙っている女程度だった。
だが、初対面にして、自分に恐れおののかない海は、稀に見る鳴宮にとってやっかいで、自分が狙う女を既に狙っていた【陸】の存在を知らされ、海の思いとは真逆に、鳴宮をよりえみへの関心を引き立てたのだった。