鳴宮くんは悪い子‼
第11章 乙女心?いや、ガサツ心
「へー。よりによってヤンキーのトップを、ねぇ……」
ため息混じりの声で呟く美樹。
いや、トップじゃなくて、次期トップだからね。
……………でも、いくら松高の頂点になる人でも、なんだかまぬけだよなぁ。
喧嘩が強いだけで、何がトップよ。
「まーあんた次第だと思うけど?幼なじみの告白まで断って。なんだか危ない経験もしたみたいだし」
淡々と話す美樹は、細い美脚を組みかえた。
美樹…
いくら自分が無関心な人の話題になっても、親友の恋はもっと応援して……
そう心の中で呟く私に、美樹はいつもより数段鋭い目を向けた。
「でも、マイペースなあんたには刺激が強すぎるよ。現に、鳴……は顔整ってるって噂だし。どこで遊んでるかわかんないよ」
え、今鳴宮の名前分かんなかったから濁らせたでしょ!!
美樹、無関心にもほどがあるよっ!!!!
だけど、そうだよ。
ほかの高校にも言い寄られたりして。
あんなことやこんなことを…
「ぎゃー!!!やだやだっ!!私は健全な大和撫子よ!!!」
「あーもーうるさい」
面倒くさそうに話す美樹は、耳に髪を掛けて、一番肝心で聞かれたくない質問をしてきた。
「で?なんでさっさとくっつかないの?」
ギクッ(=_=;)
「いや、私もよく分かんないんだけど……」
なんだか魚の小骨がここんとこにつっかえている感覚なんだよ。
今はまだこの感覚がなんなのか分からないけど……
答えを探すのはまだ先でもいい気がする。
もう鳴宮には、付き合わないと言ってしまったんだし。
私は美樹のミディアムヘアーの髪を指にするりと絡ませ、うつらうつらとそう考えた。