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幼なじみ

第3章 過ち





「沙耶と喧嘩した」



 そう言って、むすっと拗ねたように頬を膨らませた翔が俺の家へやって来たのは、疲れた身体を癒そうと風呂に入ろうとした時のことだった。



「…で?」



「慰めろおおおっ!」



翔はぐすっと鼻を鳴らし、俯いていた顔を勢いよく上げると、両手を広げて俺に抱きついてきた。


めんどくせえ……。


今日は一番に風呂入って、そしてすぐに眠りにつきたかったのに。


俺の予定が一気にぶち壊され、内心少しだけイライラとしてしまう。


…でもやっぱり、長年の付き合いの幼なじみをここで突き放すなんてことは俺にはできない。



「しょうがねえなぁ…入れよ」



イライラする。


でも、こういう時に、翔が俺を頼ってくれたことが'親友'っていうのを実感できたみたいで嬉しい――


なんて女みたいなことを思ってしまったのは、秘密だ。



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