アルカナの抄 時の息吹
第2章 「塔」正位置
どうしたんだろ。
あたしは部屋へ戻ると、先ほどの王を思い出していた。…急に手をつかまれて、びっくりしたけれど。悲痛に歪めた紫の瞳を見たら、なんだか無下にできなかった。
苦しそうな、顔してた…。もう、大丈夫だろうか。気になるが、この部屋から庭は見えない。
ベッドに横たわり、目を閉じたが、先ほどの王の表情が、頭から離れなかった。
それから数日が経ったが、その間、互いにそのことには触れなかった。
「また“監視”?」
相変わらず庭に突っ立ってる王に、問いかけた。あたしが掃除を始める頃には、だいたい庭に出てくる。
「勘違いするな。ずっとおまえの監視ばかりしてるほど暇じゃない。国のことを考えてるんだ、邪魔するな」
…考え事なら、別に自分の部屋でもできるじゃないの。とは、めんどくさいのでつっこまなかった。
その時だった。
大きな衝撃と共に、ドオン、という轟音。激しく地面が揺れ、ふらついたあたしは、思わず壁に手をついた。
揺れが収まり、顔をあげると、少し離れたところに砂ぼこりが舞い上がっている。ぽっかり空いた地面の穴に、何が起こったのかと気をとられていた。
だから、すぐ近くの城壁に亀裂が入っていくのに気がつかなかった。亀裂はどんどん大きくなっていく。
「…おい!」
気づいた王が叫ぶ。王の視線を追い、そこでやっと危険に気づく。だが、遅かった。
「きゃあああ」
あたしは部屋へ戻ると、先ほどの王を思い出していた。…急に手をつかまれて、びっくりしたけれど。悲痛に歪めた紫の瞳を見たら、なんだか無下にできなかった。
苦しそうな、顔してた…。もう、大丈夫だろうか。気になるが、この部屋から庭は見えない。
ベッドに横たわり、目を閉じたが、先ほどの王の表情が、頭から離れなかった。
それから数日が経ったが、その間、互いにそのことには触れなかった。
「また“監視”?」
相変わらず庭に突っ立ってる王に、問いかけた。あたしが掃除を始める頃には、だいたい庭に出てくる。
「勘違いするな。ずっとおまえの監視ばかりしてるほど暇じゃない。国のことを考えてるんだ、邪魔するな」
…考え事なら、別に自分の部屋でもできるじゃないの。とは、めんどくさいのでつっこまなかった。
その時だった。
大きな衝撃と共に、ドオン、という轟音。激しく地面が揺れ、ふらついたあたしは、思わず壁に手をついた。
揺れが収まり、顔をあげると、少し離れたところに砂ぼこりが舞い上がっている。ぽっかり空いた地面の穴に、何が起こったのかと気をとられていた。
だから、すぐ近くの城壁に亀裂が入っていくのに気がつかなかった。亀裂はどんどん大きくなっていく。
「…おい!」
気づいた王が叫ぶ。王の視線を追い、そこでやっと危険に気づく。だが、遅かった。
「きゃあああ」