アルカナの抄 時の息吹
第2章 「塔」正位置
「おっ、おまえ!なんで掃除なんてしてるっ!」
ビシィ、と指を差し怒鳴る王。あたしは手を止めると、息を軽くつく。
「前も言ったでしょ。暇なの」
大声で話さなければならないのも煩わしい。…もう、無視してやろうかしら。面倒だわ、色々。
「別に掃除じゃなくてもいいだろ、他のことをしろ!」
無視することにした。
「?」
あたしが聞こえないフリをしていると、王が少しだけ近づき、また繰り返した。
「か、身体は大丈夫なのか。掃除以外のことをやれよ」
先ほどより近くから王が言った。ようやく王の意図がわかり、あたしは顔をあげる。王は、あわてたように顔を反らした。
「心配してくれるんだー?」
「別に心配なわけじゃねえ!ただ…俺が助けてやった命だ、粗末にするな」
「そうね、あんたに助けてもらったのよね。お礼がまだだったわ…ありがと」
じっと見つめると、王が少しだけ顔をこちらへ向けた。
「昨日も聞いたけど…あんたこそ、大丈夫なの?」
王の包帯は、まだとれていない。
ビシィ、と指を差し怒鳴る王。あたしは手を止めると、息を軽くつく。
「前も言ったでしょ。暇なの」
大声で話さなければならないのも煩わしい。…もう、無視してやろうかしら。面倒だわ、色々。
「別に掃除じゃなくてもいいだろ、他のことをしろ!」
無視することにした。
「?」
あたしが聞こえないフリをしていると、王が少しだけ近づき、また繰り返した。
「か、身体は大丈夫なのか。掃除以外のことをやれよ」
先ほどより近くから王が言った。ようやく王の意図がわかり、あたしは顔をあげる。王は、あわてたように顔を反らした。
「心配してくれるんだー?」
「別に心配なわけじゃねえ!ただ…俺が助けてやった命だ、粗末にするな」
「そうね、あんたに助けてもらったのよね。お礼がまだだったわ…ありがと」
じっと見つめると、王が少しだけ顔をこちらへ向けた。
「昨日も聞いたけど…あんたこそ、大丈夫なの?」
王の包帯は、まだとれていない。