アルカナの抄 時の息吹
第3章 「運命の輪」逆位置
翌日、なんとなく王の部屋を訪ねると、ハースと医師がいた。
「こんにちは。…包帯を取り替えるのね」
医師の手にある新しい包帯を見て言う。
「おまえか」
ベッドに横たわり、上半身を起こした王が言った。
「掃除はどうした?遊んでないで働け」
ハースが横から口を挟んだ。
「もちろん、きっちり3時間、掃除してきましたよ。書庫に通って、帰る方法も少しずつ探してますし」
そう言うと、ぐっ、とハースは押し黙った。
医師の手で、ゆっくりと包帯がほどかれていく。王の怪我はあたしのせいのようなものだ。怪我の具合が気になり、後ろからのぞき込んだ。…と。
「!」
怪我はほぼ治っている。ただ…髪の毛の方はまだ再生していないのだろう、その部分だけない。大きさとしては枝豆ほど、楕円状に皮膚がむき出しになっていた。要するに、小さなハゲだ。
「ぶっ」
あたしが吹き出しそうになると、ハースにギロリとにらまれた。その目は、誰のせいでこうなったと思ってるんだ、と告げている。あたしは慌てて口を押さえ、堪える。
「こんにちは。…包帯を取り替えるのね」
医師の手にある新しい包帯を見て言う。
「おまえか」
ベッドに横たわり、上半身を起こした王が言った。
「掃除はどうした?遊んでないで働け」
ハースが横から口を挟んだ。
「もちろん、きっちり3時間、掃除してきましたよ。書庫に通って、帰る方法も少しずつ探してますし」
そう言うと、ぐっ、とハースは押し黙った。
医師の手で、ゆっくりと包帯がほどかれていく。王の怪我はあたしのせいのようなものだ。怪我の具合が気になり、後ろからのぞき込んだ。…と。
「!」
怪我はほぼ治っている。ただ…髪の毛の方はまだ再生していないのだろう、その部分だけない。大きさとしては枝豆ほど、楕円状に皮膚がむき出しになっていた。要するに、小さなハゲだ。
「ぶっ」
あたしが吹き出しそうになると、ハースにギロリとにらまれた。その目は、誰のせいでこうなったと思ってるんだ、と告げている。あたしは慌てて口を押さえ、堪える。