
Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
昨夜は幾度も直輝に抱かれ、彼はその度に 今、直輝と紗英子は少し離れて同じソファに並んでいる。
「何だ、改まって。難しい話なら、また明日以降にしてくれないか。今日はまだクリスマスだろ。あまり込み入った話はしたくないな」
昨夜、久しぶりに良いムードになりながらも、有喜菜のことで険悪になりかけた。漸く仲直りしたところにまた厄介な話を持ち出されたくないと思ったに違いない。
「さっきも言ったでしょ、大切な話なのよ」
直輝がこれ見よがしに溜息をついた。
「で、何なんだ、その大切な話ってのは」
「赤ちゃんの話」
これは、かなりの不意打ちだったらしい。ここまで愕いた夫の顔を紗英子は初めて目の当たりにした。他のことが話題であれば、きっと笑っていただろう。
しかし、今夜は笑うどころではなかった。
「赤ん坊? 紗英子、お前、一体、何を言ってるんだ? お前は手術をして―」
流石に最後までは言えなかったのだろう。直輝は中途半端に口をつぐみ、紗英子の正気を疑うかのように見つめてきた。
「何だ、改まって。難しい話なら、また明日以降にしてくれないか。今日はまだクリスマスだろ。あまり込み入った話はしたくないな」
昨夜、久しぶりに良いムードになりながらも、有喜菜のことで険悪になりかけた。漸く仲直りしたところにまた厄介な話を持ち出されたくないと思ったに違いない。
「さっきも言ったでしょ、大切な話なのよ」
直輝がこれ見よがしに溜息をついた。
「で、何なんだ、その大切な話ってのは」
「赤ちゃんの話」
これは、かなりの不意打ちだったらしい。ここまで愕いた夫の顔を紗英子は初めて目の当たりにした。他のことが話題であれば、きっと笑っていただろう。
しかし、今夜は笑うどころではなかった。
「赤ん坊? 紗英子、お前、一体、何を言ってるんだ? お前は手術をして―」
流石に最後までは言えなかったのだろう。直輝は中途半端に口をつぐみ、紗英子の正気を疑うかのように見つめてきた。
