愛恋縁一方的愛情劇
第2章 いじめ?意地悪?愛情!?
「え?…惇君が?」
「そーそー、惇があんたを呼びに行ってって言ったからぁ。つかなんであんたが呼び出されんのぉ?」
髪の毛が金色に染まっている女子に伝言を伝えられた。
「…わ…分かんない。」
「ま、どーせ殴られるか蹴られるかでしょ?ハハッ、残念な野郎だねぇ~、場所は体育館裏らしいよぉ。」
…体育館裏とか…もう殴られるの決定じゃん…
てゆか、あの痴漢の後あんなに静かだったのに…今更何されるんだ…?
握った拳が、嫌な汗をかいているのが分かって、ギュッと握る。
これは、何かの試練?ですか?
ゆっくりと歩みを進めるその先は、惇君の待つ体育館裏。
体育館裏をそーっと覗くと、
「惇っ落ち着けよ!」
「っせーな!!っぉぃ、亮はまだか!?」
どうやら荒れているらしい惇君を抑える人たちで小さな喧嘩が始まっていた。
…いきずれー
行きずらすぎる!!
「…何隠れてんだよ。」
「ひ…」
後ろから声をかけられて、そのまま腕を掴まれて惇君達の方へ連れて行かれる。
「惇、そう荒れんな。本人持ってきたから。」
その人は、冷静に呟くと、僕を惇君の前に曝す。
ドサッと倒れた僕は、顔をあげる事なんて出来なかった。
「なぁ…」
惇君の掠れた低い声が僕に呼び掛ける。
「ぇ?」
僕はきっと、口ぱくのような状態だと思う。
「なぁ!!なぁって言ってんだろ!!」
「ぅわっ…」
僕の視界はぐるりと回り、襟元を掴まれて、もう足先さえ付けられないくらい持ち上げられて、怒鳴られる。
「ケホッ…苦し」
「お前さ、…彼氏とか…居たの…?」
手を離せともがく僕に、惇君は静かに聞いた。
っ…なんで知ってるの?
…僕と彼の内緒じゃなかったのか?
「ぃ…たょ」
聞こえないくらいで答えると、惇君の僕の襟元を掴む力が強くなる。
そして、不意に力が抜けて、僕は間抜けにまた地面に落ちた。
僕を離した惇君は、俯いて顔も見せないでぶつぶつと何かを呟いてから、僕を見下ろした。
僕は背筋に寒気が走るのを、心の底から感じ取っていた。
なぜか?
それは、惇君の目が赤くなって鋭くなってたのと口角が不気味につり上げられていたから。