愛恋縁一方的愛情劇
第4章 二重人格?多重人格?
「よし…と」
僕は、1日かけて結ばれてる紐の範囲内をちゃんと綺麗に掃除した。
これで昨日のまま。
にしても、惇君って帰り遅いんだなぁ…おなか空いちゃうよ。
時計を見ると、既に午後8時をすぎていた。
ガチャ…
扉がゆっくり開いた。
僕もビックリしたけど、相手も少し驚いたみたい。
でも、入って来たのは惇君だった。
「惇君っ、朝、いつもあんなに焦って学校に行ってるの?」
僕が駆け寄って、袖を掴んで問うと、
「へぇ、あなたが亮さんですね?」
惇君…?は、僕の顎をとって自分に見えやすいように持ち上げる。
「…惇…君?」
目の前にいる多分、惇君じゃない人は僕の顔をジーッとみた後、身体を見極めるかのように全身を舐め見るように見る。
「あなたは亮さんですよね?」
「は、はい。そうです。」
「じゃあ、知ってますね?僕の存在を。」
惇君じゃない人は、僕の顎を再度、後ろから掴む。
そして耳元でそれを呟いた。
「はい、知ってます。」
僕が答えると、惇君は僕の顎をそのままグイッと上に上げてなんやかんやで、いつの間にか押し倒されていた。
「な…にす…」
「今朝のは、全部僕がやりました。」
惇君じゃない人は、嫌味にニヤリと笑った。
「な、なんで…ですか?」
「それはですね。」
また手が僕の顎に伸びてくる。
「あなたのせいですよ?」
「…僕の?…なんで…?」
惇君じゃない人は、僕の唇を押さえて感触を楽しんでいた。
「んぅ、なかなか美味しそうな唇ですね。」
「だ…から、なんで」
「知りたいですか?」
僕は、惇君じゃない人を見上げたまま首を縦に振った。
何故僕のせいになる?
僕は何もしていないだろう?
「あなたの為に、惇は僕を出すのを制御したんですよ。」
惇君じゃない人の爪が僕の唇に刺さる。
「つ…」
「つまり、惇はあなたを守るために僕を殺そうとしたのですよ。」
惇君じゃない人は、大袈裟に身体を横に揺らして僕の唇に刺さる爪は力強くなっていく。
「いたい…いた…」
そいつの腕を、僕は掴んで抵抗した。
けど、やっぱり力に負けて、結局されるがままになる。