愛恋縁一方的愛情劇
第3章 監禁？束縛？
「…助けて…」
口をついて出た。
助けてっていう言葉。
それは、縛られているから助けてじゃなくて、惇君に助けを求めた。
僕は、惇君のシャツを力一杯掴んで、抱き締めてくれている惇君に突進して、泣いた。
「…助けて…」
それを言う度に僕の目からは涙が出てくる。
助けて…助けて…助けて…
「よしよし。」
惇君はそう言って頭を撫でてくれた。
うん…うん。
惇君には、これが精一杯なんだよね？
何を助ければいいか分からないもんね。
うん。充分だよ。
だから、僕の思ったこと話して良い？
僕の気持ち、切り出して良い？
「ぼ…く…」
「ん？」
惇君は、僕の口元に耳を寄せて聞こうとしてくれる。
「僕、っもう恋愛…分からないっ。」
とめどなく流れるこの涙は、僕の身体が拒否している証拠だ。
愛してはいけない。
また、お前が傷つくんだと、もう１人の自分がそう言ってくる。
だから、恋愛したくないなんて、本当は嘘なんだよ？
だけど、怖いんだよ。
もう、分かんないんだよ。
もう、知りたくないから。
知らなくて良い。
恋愛して、成功してる人を見ると、僕はとてつもない虚無感に苛まれる。
それは、恨みが妬みか…そんなの分からないけど、恋愛が楽しくて仕方ない人を見ると…僕は、死にたくなる。
最初の選択が間違っていたんだ。
最初に彼を選んで、彼に恋して、「好きです。」と告げたのが間違いだったんだ。
「愛してる。」言ってくれたのに、最後に彼は、僕を好んでいると言った事はないと言った。
悲しかった。
悔しかった。
彼を憎んで、恨んだけど…やっぱり彼が好きだった。
惇君みたいな人が、初恋だったらきっと、恋愛で成功してる誰よりも幸せだったって思えるかも知れないのに。
…あれ？
……なんで…僕…、惇君が彼氏だったら良かったのにって思ってんだろ…
「ごめんな。幼なじみなのに、お前の恋愛事情気付いてやれなくて。」
「…へ…？」
僕は、上を向いて惇君を見上げた。
惇君は、優しい満面の笑顔で、
「でも、俺が幸せにしてやるから。」
そう言って、また僕を抱き締めた。
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