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林道

第1章 其の一

あの夜。

ベッドの上で二人は裸で抱き合っていた。

何も性的な行為をしなくとも、二人はそうしていることが一番落ち着くのだった。

だから、二人は当然のように小さいころから、そうして夜を過ごしてきたのだ。
しかし、この晩はいつもとは違っていた。

満月の夜。

月明かりの射し込む窓際のベッドの上でカノンはタカヤに抱かれながら言った。
「お願い…」

「それは…」

タカヤは、駄目だ、という言葉を口に出来なかった。
―双子の姉の処女を奪うなんて。

タカヤはカノンの温もりを感じながら、冷静になろうと抗っていた。

「きっと、俺が守るから、信じて」

そう、言葉を絞り出す。
本心だった。
狂おしい程、カノンを愛していた。

「駄目よ、あの人はいつか私を犯してしまうわ」
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