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さくらさく

第5章  4


「…さくら?」

「えっ」

私は泣いていた。

無意識のうちに涙がこぼれていた。

「な、んで…」

泣きたくないのに

祐樹の前でもう、泣きたくなんかなかったのに。

「やだ…なんで、出てくんのよ…」

「…大丈夫だよ。」

「え?」

「俺はそばにいるよ。…泣いていいよ。」

こんな時にも優しいんだ。

「…っく、ふ…ふぇ…」

「よしよし。」

よかった。

心から好きになった人が、この人で…

ほんとによかった。


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