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どらくえ3

第6章 ほこらの夜に

カンカン!ゴッ!ギィン!
連続する剣の合わさる音。
―…はあっはあっはあっ

アベルの息が上がっている。

リサの茶々を無視してイースとアベルは剣を交わす。
―アベル、腕を上げたな。
イースは内心そう思ったが顔には出さない。

アベルは必死だ。

最初のイースの挑発による怒りは消えて、今は全力で剣を振るうことに集中している。

無駄な動きが多いアベルはイースよりも体力を消費している。

だがイースも手を抜いているわけではない。

手を抜けば、簡単に形勢は逆転してしまうだろう。

アベルの実力はそれほど急激に上昇しており、数年経験が上のイースに肉薄していたのだ。

―実戦のたまものか?才能なのか?いや、両方かも…。

イースは、肩で息をしているアベルに正面で構えて量っていた。

―いや、それだけならアリアハン兵士にもごまんといる。こいつにそれを越えるものがあるのか?

アベルはイースの出方をみて、ひたすら隙を狙っている。

覇気は十分だ。

イースはそんなアベルの様子を見て、微かに微笑んだ。

そしてイースは構えをすっと一旦解くと、右片手で剣を持ち、後方に引いて腰を落として構え直した。

「アベル、覚悟しろ…。」

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