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どらくえ3

第6章 ほこらの夜に

イースの突き、一閃!

アベルはぎりぎりで見切って剣で受け流そうとした。
ガッ!

イースの切っ先が、アベルの剣をそのまま捉える。

受け流すはずだったアベルは後方へ飛ばされた。

―よく見切った!しかし…!

イースの技は第一撃を受け流されることが前提となっていた。
相手の剣に合わせ、後方に飛ばして、体勢を崩し、第二撃の突きでとどめを刺す。

アベルは予想外の状況に対応できずに、やはり体勢を崩していた。

―いくぞ!アベル!ここからだっ!

素早くイースが第二撃の突きを繰り出す。

スピードが乗っている分、第一撃よりも速く、伸びる。

―連続突きっ?!

アベルの後方は岩、体勢が崩れて受け流すこともできない。

万事休す。

―あきらめるしかないのか?…いや!何か手があるはずだっ!

とっさの行動だった。

イースの突きがアベルの影を突く。

アベルは剣を地面に突き刺し、剣の柄に逆立ちするようにして上空に逃げたのだ。

イースは技を出し終えて無防備だった。

アベルはそのまま跳んでイースの肩を蹴った。

今度はイースがバランスを崩す。

アベルは地面から素早く剣を引き抜き、イースの首に切っ先を向けた。

「…参った」

イースが降参した。

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