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どらくえ3

第7章 いざないの洞窟

「驚いたか?」

アベルがしげしげと鋼の剣を見ているのにイースが自慢気に言った。

「お前の持っている銅の剣と比べてみろよ」

―まさか。

アベルは銅の剣を抜いて重さを量ってみた。

ほとんど、というか一緒の重さだった。

「一緒だ…城では銅の剣の方が軽かったのに?」


「旅の間にな、徐々に重たくしたのさ。手入れのときに工夫してな。気付かなかっただろ?」

「くっそー、どんなに練習しても重たいはずだよ」

「ははっ。まあそのおかげで、お前の腕力は鋼の剣が自由に振れるまで上がったし、同じ重さの剣で俺との勝負にも勝ったんだ。たいしたもんだ」

「そうかあ…さすが教育係」

「仕事きっちり。なんせ王様のお墨付きだからな」

冗談を言ってイースは笑った。

しかし、確かにイースがいなければここまでこれなかっただろう。

「まあ、まだ旅慣れていないアベル一人じゃ心配だが、ムタイもリサもいるしきっと大丈夫だろ」


アベルは、リサとムタイの顔を見て頷いた。

「ああ、きっと大丈夫だ」
「それじゃ、そろそろ出発するかの」

「ああ…イース、銅の剣は預けておくよ」

「そうだな…こいつで勇者育成の成功報酬として、王様から鋼の剣をせしめるとするか」

イースは笑って銅の剣を受け取った。

「じゃあな」

「ああ、行ってくるよ」

「ムタイ、リサ。アベルを宜しく頼む」

「任せといてよ!」

「うむ」

「よーし、行くか、、冷たそうだけど!」

「行くぞ!」

ざぶざぶざぶ…。

こうしてイースと別れ、アベル、リサ、ムタイの3人は泉の中に入っていった。

―旅立つ者に栄光を、見送る者に幸あれ!


「冷たっ…!」

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