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切ない朝

第2章 駅

絶対次の電車にのらなきゃ・・・
でもすごく込んでるし・・・
あんなふうに舌打ちなんかされたらいやだな・・・

5分もしないうちに次の電車がホームに入ってきた。ドアが開き数人の人が降りたのを見るとすぐに昌子は電車に乗り、バックを肩から下ろした。さっきはこのバックが人波に飲まれたのだ。

手で持つとバックは足元近くになるけど、コントロールできる分楽だ。
そのまま人ごみに逆らわずにドア脇の手すりに体を固定して、スポーツバックはおろして足の間に挟み込んだ。ボールバックはでかすぎて迷惑なので人に当たらないドアにあずけて固定して、右手で鉄製の手すりにつかまる。

「ぷしゅーー」

音がしてドアが閉まった。

とりあえずは乗れた。しかもこっち側のドアはしばらく開かないほうだ。

相変わらず乗車率200%はあろうかというすし詰め満員電車だが、昌子はちょっと安心して体の力を抜いた。

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