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切ない朝

第8章 岐路

ずいぶん、長い時間がたったような気がしたが、まだ電車は次の駅には着いていない。

「なぁ、明日もこの電車に乗る?」

男がささやいてくる。

この男になすがままに陵辱されたが、それは不快でなった。

昌子は自分のとった行動が未だに信じられないし、受け入れられないで混乱していた。

正直、今はまともな思考も会話も出来そうにない。

だけどこの男に感じた好意のようなものは気分として残っていた。

話しかけられると、少し、うれしいような恥ずかしいような気持ちになる。

昌子は黙って男の手を握った。

それを男は自分の問いかけに対する答えと取ったのか、ちょっと強めに握り返してきた。

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