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切ない朝

第8章 岐路

男がどんな答えを創造しているのかは分からないが、昌子は明日はこの電車には乗らない。

いや、この時間の電車に乗る事はもう無いだろう。

今日は部活の都合で電車に乗っているだけで普段は自転車通学なのだ。

そんな事を考えながら、男の手を握ったまま窓の景色を眺めている。

電車が減速してきた。

次の駅に着くようだ。

昌子の目的の駅に。

この現実感の無い、空間から、昌子にとってのリアルな世界に。

昌子は鞄を持ち直し、しゃんと立って降りる準備に入った。

もちろん男もそれに気づいたようだ。

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