切ない朝
第8章 岐路
男は手を離し、今までの昌子との恋人のような距離感から、他人の距離感に戻っていった。
それが昌子には少し悲しくておかしかった。
いいように自分を蹂躙した大人の男が昌子との関係が知られるのを恐れているような気がしたからだ。
そしてあの淫靡な時間を隠そうとしている。
電車が駅に着く。
昌子は降りた駅のホームで人の波に逆らってその場に止まった。
振り向くと、新たに乗ってきた人に押され、
男は見えなくなっていった。
電車が動き出す。
それははじめはゆっくりだが、だんだん加速して走り去っていった。
それが昌子には少し悲しくておかしかった。
いいように自分を蹂躙した大人の男が昌子との関係が知られるのを恐れているような気がしたからだ。
そしてあの淫靡な時間を隠そうとしている。
電車が駅に着く。
昌子は降りた駅のホームで人の波に逆らってその場に止まった。
振り向くと、新たに乗ってきた人に押され、
男は見えなくなっていった。
電車が動き出す。
それははじめはゆっくりだが、だんだん加速して走り去っていった。