恋
第1章 君
「止めてよママ!
やりたいって言ってるのよ!!
ママは寝てればいいじゃない!」
初めて放った反抗心の塊。
母は少し戸惑ったが腕を離さない。
「お願いだから寝てちょうだい!
ママは貴方が心配なだけなの!
パパだってとても心配してるのよ?」
母の力がより一層強まった。
「止めてって言ってるじゃない!
離してよ!やめろ!」
パンッ!!
夜の静寂に軽快な音がコダマした。
母の頬を私の手が捕らえた。
叩くつもりはなかった。
でも叩きたいと願ってた。
罪悪感と心地よさが交わって
私の力をすっと取って消えた。
母の少し赤みを帯びた頬を感情の雫が流れた。
私の中の母に対する罪悪感は消えていた。
その後の私は心地よさを求めて
ひたすらに手を足を動かした。