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♡Hなアパート生活♡

第30章 決断

「話は全部聞いたわ…」
「母さん、どうしてここに…?検査は…?」



お母さんは黙って、お父さんに近づく。
そして、そっとお父さんに触れた。



「……あなた、もういいわね」



お父さんは苦々しい顔をして頷いた。



「なんだよ」
「陽、ごめんね……」









「実は、お母さん…元気なのよ」








「…は、はぁ…?!」





まさかの告白に、あの陽も動揺を隠せない。



「お父さんがね、電話でいつも陽のこと心配していて。戻ってきてほしい、戻ってきてほしいって言うから、ふたりで考えたのよね」



お父さんは、うんうんと頷く。



「ちょうど、ちょっとした胃腸炎で入院することになったから、これはチャンス!と思って。

あ、もうすっかり治ったのよ」



お母さんはにっこり微笑んだ。






あ、ありえない……



私は呆然とする。
あの陽ですら、呆気にとられてる。



「…な、なんでそんなめんどくさい嘘つくんだよ!
そうならそうと、言えばいいじゃねえかよ!」

「そんなこと、言えるか」



お父さんはプイッとまた窓の方を向く。





「な、なんだそれ………」



陽は怒りを通り越して呆れたのか、力なくそう言った。





…嘘つきで
素直じゃなくて
意地っ張りで……

さすが、陽のお父さん……





「…陽にそっくり」



ついそう呟く。

陽が私の方を向く。照れているのか顔が赤い。





「陽、ごめんね。
でもこれをきっかけに、本当にもう一度、お父さんとお母さん、一緒に暮らそうと思うの。

だから、また会いにきて。
いつでも。たくさん……」



お母さんと目が合う。



「あなたも一緒に、ね」



お母さんは優しく微笑んだ。

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