
あたしのご主人様!
第2章 ご主人様とピンクローター
「愛華は、今日も可愛いな」
運転席からちらりとあたしに視線を向けて、ふいにシュウがそんなことを言う。
あたしはなんだか恥ずかしくなって、首を横に振った。
あたしは今助手席に乗っている。シュウの車で、街中にできた大きなショッピングモールに向かって走行中なのだ。
男の人の車に乗って、二人きりでお買い物。端から見たら、立派にデートに見えるんだろうなぁと思う。
だけどあたし達は違う。あたし達の関係と今の状況は、『普通の人』から見たら、いろいろとおかしいはずだ。
「あ……んっ」
声が漏れそうになって、あたしはきつく唇を噛んだ。もう何度もそうしているせいか、多分あたしの唇は赤く充血している。
唇が荒れるとシュウは――ご主人様は怒るから、本当は噛みたくなんかないのに、そうでもしないとおかしくなってしまいそうだった。
自分を保っていられない。
「そんなに感じる? 愛華は敏感だよな」
「違う、車が……揺れて……んっ」
足をぎゅっと閉じ、両手でスカートを握りしめながらどうにか意識を別のところに持っていこうと必死になるあたし。
