
Memory of Night2
第4章 同居
「つか、今度写真見せるよ。話だけじゃわかんねーだろ? 顔見せに来いって言われてるし、アルバム探してくる」
「そうだな。宵似のお母さんの顔、見てみたい」
「そりゃ残念。母親の写真多分ねーと思う。あの人写真とか大っ嫌いでさ、残ってねーんだよ、そういうの一枚も」
「一枚も?」
「アルバムにはなかった、かな」
他に写真なんてあったかな、と思ったが、少なくとも宵が覚えている限りでは一枚もない。
「まあ、親父と俺ので勘弁して」
「充分」
晃の顔はお菓子を与えられた子どものようにわくわく感がにじみ出ていて、そんなに見たいのかよ、と突っ込みたくなる。
「つか眠くなってきた。早く片付けろよ。さっきから手止まってんじゃん。日が暮れちまうぞ」
「はいはい。頑張るよ。おやすみ」
「おやすみー」
宵が目を閉じる。だらだらと話していたからか、睡魔はすぐそこまで来ていた。
ようやく惰眠をむさぼれると思っていた矢先、再び晃に名前を呼ばれる。
「……今度はなんだよ」
薄目を開けて振り向くと、今度は晃は古ぼけたファッション雑誌を差し出してきた。
真ん中辺りのページが開いたままになっている。
どうやら春辺りに発売された雑誌らしい。白いワンピースを着た女性が映っていた。
