
Memory of Night2
第2章 春
「にしても、今日はずいぶんカリカリしてない? そりゃ、何回も起こさせたのは悪かったけど」
シャワーを浴び終え、菓子パンと牛乳という軽い朝食を済ませ、学校に行く仕度を整えながら晃が言った。
最近では、学校が終わるとどちらかの家に上がりこみ、そのまま泊まっていってしまうことも多い。
晃の両親は二人とも病院務めをしていて家にいないことも多いが、それでも、現在一人暮らしをしている宵の家の方が、何かと制約が少ない。
少し前は晃の家に泊まる回数の方が多かったが、今ではすっかり逆になってしまった。
晃はことあるごとに勉強道具などの私物を持ち込んでくるので、まるで半同棲中のようだ。
そのため、朝のこんな風景も日常の一端になりつつあった。
宵も同じく学生服のワイシャツに袖を通しながら、晃を振り返る。
「気のせい。別にいーよ。おまえが朝弱いのって、いつものことじゃん」
それにちょっと新鮮だし、と心の中で付け加える。
晃は常に成績が主席の優等生だ。運動もできる。ルックスだっていいからモテるし、女の扱いにだって長けている。
