向かいのお兄さん
第25章 聞いて
『今から、デートしよ』
「は?」
あたしは直也の腕に、自分の腕を絡めた
「え、おい…」
『いいじゃんかー、今日だけ、ちょっとだけ』
無理に振る舞ってるの
直也は気づいたかなぁ
ほんとは
泣きたくて 泣きたくて
仕方ないんだよ?
『一回彼氏作ってデートしてみたかったんだよね~』
「…」
『ね、いいっしょ?』
「…まぁ、一日くらいなら…」
少し照れ臭そうな表情を見せながら
直也はあたしから顔を逸らした
『…ありがと』
最後にするから…
もう直也を困らせるようなこと…
しないから…