向かいのお兄さん
第25章 聞いて
『じゃあレンタカー頼も』
あたしは、直也のポケットに入っていた携帯を取り出した
適当に探して、勝手にレンタカーを注文する
「ちょっ、何してんだよ!?」
『車頼んでるの。直也、自分の奴ぺしゃんこじゃん』
「俺車なんて運転できねぇよ」
『は?』
矛盾が生じた
『直也…車を運転してて…事故ったんだよ?』
「え…でも免許なんて…」
『…財布、見せて?』
直也はポケットから財布を取り出し、開けた
中にはしっかり、直也の免許証が入っている
「…」
『あるから…直也、運転して?』
「…」
きっと
混乱している
事故に遭ったのは知っている
なのに、運転をしていた記憶はない
『直也…』
「…また事故っても、知らねーから」
直也は財布を仕舞うと、外へ出て行った
一応、了解してくれたようだ
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