向かいのお兄さん
第25章 聞いて
しばらくそのまま歩いていると、池が見えた
普通に淵まで寄ることができ、砂利がたくさん落ちている
『魚に生まれなくってよかった』
「は?」
『だって、こんなに寒い時にも水に入ってなきゃだめでしょ?』
あたしの目は、池の中をゆっくりと泳ぐ
小さな魚を見ていた
「ははは、そういう問題?」
直也はケラケラと笑いながら、砂利の中の石を手に取った
「美咲ちゃん、石切できる?」
『…あんまり』
「よっしゃ、見とけよ?」
直也は石を持った手に助走をつけさせ、一気に振り投げた
投げられた石は水面を滑り、パチャチャチャと音を立てながら
遠く遠くまで進んだ
石が走った跡を、水面は揺れ動いて示した
『す…ごい!!!』
「だろ?」