向かいのお兄さん
第25章 聞いて
『あたしもやる~』
あたしは上機嫌で石を探した
平たい石がいいってことくらいなら、知っている
『よし、…うりゃっ』
直也の真似をして投げた石は
ドポンッと底を掘り起こすような音と一緒に
一瞬で水中に吸い込まれてしまった
『あれ?』
「下手くそー」
冷やかすような言い方に腹を立てて、あたしは何度も投げたけれど
ひとつとして水面を跳ねる石はなかった
『…』
正直、かなり悔しい
あたしは石を振り上げたまま、固まった
もう…投げたくないかも
「もっとこうしてさ…」
直也はあたしの手を取って
ゆっくりと動かしてくれた
「水平に、回転をかけながら、スーッと」
『…///』
何だろな、こいつ
いちいちずるいんだ