 
向かいのお兄さん
第25章 聞いて
特にしゃべることもなく、駐車場まで引き返し
あたしたちは車に乗り込んだ
中は外と同じくらい冷えきっていて
思わず手に息を吹き掛けた
『最寄り駅まで、送ってほしいんだけど…』
「え?家まで送ってくって」
『大丈夫だよ、それより、ちゃんとレンタカー返しといてね』
「…うん」
直也は車を走らせた
『…』
どうしよっかな…
あたし、どうしたらいいのかな…
何も、思いつかないや
「美咲ちゃんさ…」
『?』
直也は口を閉じて、首を横に振った
「ううん、何でもない…」
『…そっか』
次々に変わる景色に、目を持って行かれながら
あたしは呟いた
『直也はね…』
 
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