向かいのお兄さん
第25章 聞いて
『何回も何回も、あたしを脅迫したんだよ?』
「…」
直也はポカンと口を開けたまま、前方を見ていた
「嘘だろ」
『ほんと』
あたしはグッと背中を伸ばし、大きく息を吐いた
『両手じゃ数え切れないくらい、イカされた』
「…」
今度は眉間にシワを寄せながら、一瞬あたしの方を向いた
「嘘だ」
『ほんとだって…あたし、それが嫌で嫌でさ…』
「…身に覚えがないんだけど…」
『うん…』
知ってて言ってるから…
『でね、直也、あたしとセックスしたいって言い出したんだよ?』
「…」
『あたしは拒んで、…それからしばらく直也とは…会わなかったんだけど…』
クッと鼻が痛くなった
これ以上話したら、泣き出してしまいそうで
一旦呼吸を整えた