向かいのお兄さん
第26章 幸せだったんだ
「きっ、君たち大丈夫かい!?」
「早く救急車を…!!」
気がつくと、周りには人が群がっていた
『?』
あ、道端で抱き合ってたら
さすがに人も寄ってくるのかな?
「君ら、車に轢かれたんだよ!?」
『え?』
さっき、あたしたち、轢かれたの?
「あ、平気っす」
直也はあたしの腕を掴むと、立ち上がらせた
そして何事もなかったかのように、すたすたと歩きはじめた
「あっ、ちょっと!!」
「ちゃんと医者に診てもらわないと…!!」
などと聞こえるけれど
直也は無視して歩いていく
あたしを
引っ張って