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向かいのお兄さん

第30章 ありのままがいい





車から降り、店に入る



「いらっしゃいませ、空いているお席にお座りください」



店員さんに言われたように、あたしたちは席に座った



窓際の1番端で、何となく落ち着く




「美咲」



『ん?』



店員さんが水を運び、「ご注文がお決まりになりましたら、ボタンを押してお呼び下さい」
と言って行ってしまってから

直也はまた口を開いた




「化粧さ…」



『うんっ』



「濃くね?」



『は?』



あたしの怒りが如実に顔に出ると

直也は少し身を引いた




「だ…だっていつもそんなにしないじゃん…」



『あんたはどう思ってんのよ?』



「なんか…美咲が別人みたいに見える」



あたしはテーブルに肘をついた

『だ・か・ら?』




「俺は…すっぴんの方が好き…」




はっきり言って

今、泣きそうだ


誰のために化粧してると思ってんの?


あんたのためでしょうが





『化粧してるあたしは、嫌い…?』



「嫌いじゃねーよ、化粧自体も抵抗はないけど…」



『あたしの化粧は、似合わないか』





もう、だいぶヤケになってきた






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