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向かいのお兄さん

第30章 ありのままがいい






バタンと車のドアを閉め、フゥと一息つく




あたしの目元は、マスカラが滲んで真っ暗だった




その黒がだんだん頬まで落ちるのを

直也は自分の袖で拭ってくれた




『…服汚れちゃう』



「ほっとけ」







あたしの涙を拭ってしまうと、直也は車を走らせた





途中はずっと、頭を撫でていてくれたから

あたしはムスッとした顔しか出来なかった






「到着」




車は、あたしの家の前に停まった




道を邪魔しないよう、端にきつきつに詰める










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