向かいのお兄さん
第30章 ありのままがいい
「お邪魔しますー」
勝手に家の玄関を開け、直也は中に上がり込んだ
あたしも後ろをついていくようにして入ったが
1番驚いていたのは、台所から駆けてきたお母さんだった
「あら…どちら様?」
そういえば、直也のことをお母さんに言うの、忘れてた
『えっと…彼氏…』
「彼氏です」
もう、今さら恥ずかしくて、そして真っ暗の目元を見られたくなくて
あたしはずっと下を向いていた
「まあまあ、彼氏さん!!
美咲ったら何にも言わないんだから~
さあさ、上がって。
お菓子持っていくわね、ジュースは何がいいかしら…」
『そんなのいいから!!』
あたしは直也の背中を押して、ドタドタと二階へ上がった