向かいのお兄さん
第30章 ありのままがいい
パッ
と唇が離れると、直也はベッドに腰掛け、
あたしを手招きした
あたしが寄ると、直也はあたしの腰を引き寄せた
寄せると一緒に自分までベッドに倒れ込み、あたしは直也と身体を重ねる
あたしの髪が直也の顔にパラパラと落ちると、
直也は目を細めた
あたしは髪を耳にかけ、直也の唇をじっと見つめる
「美咲は、何しても可愛いから」
『嘘付け』
「マジだって
化粧してても、すっぴんでも、何でも…
だから、自分をけなすようなこと言うな」
あたしは頭から抱きしめられ、
直也の首もとに埋もれた
『直也…あたしの化粧嫌いって言ったじゃん…』
「嫌いだなんて一言も言ってないっての
俺なんかのために、がんばらなくてもいいってこと」
その言葉に、あたしは頷くことが出来ない
『無理…』
あたしは直也と目を合わせて、また落ちていく髪を耳にかけた
『直也のせいで…がんばっちゃうから…』
もう、自分が何を言いたいのかわからない