向かいのお兄さん
第34章 何で
「えらく素っ気ないんだねー」
「だって、別にあんたのことどうでもいいんだけど…」
全く関心を示さない直也をよそに、
由紀はロッカーにもたれて話を続けた
「居酒屋でバイトしてるなんて知らなかったよ」
「バイトなんてしてないし」
「へ?」
じゃあ何でそんな格好してるの?
などと聞かれるのを面倒に思い、
「嘘、ここで働いてる」
と適当に答えた
「それよりさぁ、お願いがあるんだけど…聞いてくれない?」
「やだし」
「そんなこと言わないでさ、あたしとあんたの仲じゃんっ」
「…一体いつの話だよ…」
直也は半ばイライラしたまま、ガシャンとロッカーを閉めた
そのまま更衣室を出ようとするのを、由紀が腕を掴んでくる
「ね…誰が直也のどーてー卒業させてあげたと思ってんの?」
「…関係、ねーよ」