
向かいのお兄さん
第36章 どっち
『ごめんなさぃ…』
「美咲ちゃんが謝ることじゃないよ」
それだけ言うと、かっちゃんは部屋を出ていこうとした
あたしは
『あのっ…』
と
ついつい呼び止めてしまう
「どうした?」
『あたし…どうしたらいいですか…?』
直也から
何かを伝えてもらうのを
ずっと
待っているべきか
それとも
むちゃくちゃしてでも
直也にわけを
問いただすべきか
「じゃあ…もうちょっと待ってな」
人を安心させるような笑顔に
不安が少し、薄らぐ
あたしは黙って頷き
部屋を出ていくのを見送った
