
向かいのお兄さん
第37章 限界
『言いたいこと…いっぱいありすぎて、わかんないです』
あたしがそう言うと、電話の向こうから笑い声が聞こえた
《そういうことは、本人を前にしたら自ずと出てくるよ》
…そうなのか?
もっと…
頭がいっぱいで、結局何も伝えられなかったりするんじゃないのかな…?
《とりあえず、俺が言えることはそれくらいかな》
『ほんとに…ありがとうございます』
《いやいや別に~、最近直也、元気ないからさ…そんなのも嫌だし、な?》
『…はい』
あたしの弱気な返事に、かっちゃんはいっそう明るい声で言ってくれた
《それじゃ、お休み》
『お休みなさい』
携帯を切り、机に突っ伏す
言いたいことを
言う
