向かいのお兄さん
第37章 限界
『そう…なんだよね?
だからあたしには…何も触れてくれないんだよね…?』
「…」
直也の目は
仕事場の方にチラチラと向いていた
『ねぇ…』
今は
あたしの目を見てよ…
『あたしのこと…どうでもいいならそう言ってよ…』
「…」
せめて理由だけでも
教えてよ…
『言ってよ!!』
「今、仕事だから…」
そう言いながら後ろを向く直也の腕を
思い切り掴んだ
『お願いだから…直也!!』
「離せって」
『あたし…あたし…』
腕を掴む手に、グッと力が入った
『もう…限界なの…』
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