
向かいのお兄さん
第44章 変態一号登場
「何だよ、連れねーな」
『うるさい』
あたしはそんなことをしに来たわけじゃない
「で、何?」
気を取り直すようにほほ笑んで、直也は言った
『あのさ、今日は仕事何時に終わるの?』
「別にいつも通りだけど…
ってか、それくらいなら電話すりゃいいじゃん」
『気分だ気分』
「あら、そうですか」
直也はもう一度後ろを振り向き、「じゃ、仕事戻る」と言った
もちろん、引き止めたりはしない
『うん、ごめんね』
「大丈夫だよーぃ」
最後にあたしの頭をポンポンと叩くと
直也はまた仕事に戻っていった
『…さて』
あたしは満面の笑みを浮かべながら、家に帰った
