
向かいのお兄さん
第44章 変態一号登場
『いつも通り帰るって言ってたじゃんかー、ったく…』
文句を垂れながらドアを開けるが
そこに直也の姿はなかった
『…』
あたしは辺りをキョロキョロと見渡した
『直也ー…?』
おいおい、隠れんぼとかするお年頃じゃないでしょうに
あたしはキッチンや浴室も覗いた
それでも直也は見当たらない
『ちょ…直也…?』
急に心細くなり
あたしの声も弱々しくなる
『なおゃ…んぎゃ!!』
驚いて、あたしは紙袋を落とした
突然何かで目を塞がれたのだ
『やっ、ちょ…冗談やめ…!!』
その何かを取ろうと手を伸ばしたところ、感触で、タオルで塞がれているのだとわかった
「いらっしゃーい」
真っ暗なまま、顔のすぐ後ろで直也の声が聞こえた
