向かいのお兄さん
第44章 変態一号登場
「おー…いてぇ…」
苦い薬でも飲んだような顔をしながら
男は直也を睨みつけた
「直也お前なぁ…手加減なしで殴っただろ」
「うっせぇな。黙ってろよクズ」
「クズとか、ひでー」
男はため息をつきながら、パキパキと首を鳴らす
そしてあたしの方を見た
「どうもはじめまして」
『あ…はぁ…いや…はい…』
男はニコッと笑うと、あたしの手を握った
「さすが直也の彼女だなぁ、感じてるとこサイコーでした」
『…は?』
突然の人物の登場で、あたしは頭が整理できない
「触んな」
直也はあたしを隠すように、男の前に割り込んだ
「触るくらいいいじゃんよー」
「うっさい、しねば?」
『…』
直也とは…知り合いってことか…?
すると男は、直也の肩からあたしの方を覗き込んだ
「どうも、自己紹介遅れたねー」
男は嬉しそうに、口角を上げた
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