
向かいのお兄さん
第45章 寒そうだから
『直也…えっと、喧嘩はやめよ…?』
今にも殴り掛からんとする勢いだったので、あたしは直也の服を引っ張って止めた
「…」
不満そうな表情を見せつつも、直也は雅也さんから手を離した
雅也さんは乱れた服を軽く正す
そして薄らと笑みを浮かべた
「そっか、今からお楽しみタイムなんだな。
それじゃあオレは邪魔だよね〜」
パンパンと足元を払って立ち上がると、そのまま玄関の方へ向かった
「また来るな、直也。
美咲ちゃんも、お元気で♪」
パタンと扉が閉じられ、部屋にはあたしと直也の二人きりになった
そしてようやく、直也はホッとした顔をした
「あーあ…」
四六時中拘束されていたものが、今やっと解放されたような空気だった
