
向かいのお兄さん
第47章 記憶にない記憶
「いつまでも残ってない方がいいよ。
もうすぐ学校、施錠されちゃうし」
男の子は特に慌てる様子もなく、教室の中に入ってきた
『そ…そうなんだ…じゃあ早く帰らなきゃね…』
あたしは適当に話を合わせて、その場を出ようとした
直也にそっくりな男の子…
でも直也なわけがない
「あ!!」
『…!?』
突然大声を上げられ、あたしは肩をびくつかせた
恐る恐る後ろを振り返ると、男の子が睨みを利かせてあたしを見ていた
『ど…どうしたの?』
一応、聞いてみた
「俺の財布がない。
あんた、盗ったろ」
『ええ!!?』
