
向かいのお兄さん
第47章 記憶にない記憶
『と…盗るとか…!!
ないない、絶対ない!!』
疑われても仕方ないな…
だって、あたししか教室にいなかったんだから…
でもあたし、盗ってなんかねーよ
ってことで、あたしは必死に誤解を解こうとした
「嘘つけ、さっき来たときはあった」
『ほんとだって!!
そ、それなら一緒に探すから…!!』
あたしはとりあえず、教室の机の中を手当たり次第に見ていった
しかしどの机もからっぽで、財布らしき物なんて見当たらない
『…なぃ…なぃ…なぃ…』
疑われるなんて嫌だ
だから一生懸命探した
そして男の子の前にある机を覗いたときだった
頭の上で、ブッと吹き出す音が聞こえた
『…は?』
顔を上げると、男の子は笑っていた
